夜間排尿・・・夜中にトイレに起きる

夜間排尿・・・夜中にトイレに起きる

加齢に伴い、夜中にトイレに起きることが増えます。1回だけ起きる、というのは、お酒を飲み過ぎた日などは若者でもありがちですが、50歳を超えると、夜中に2、3回と目が覚める、というのが増えるのです。この「夜中に繰り返しトイレに起きる」というのも、体調不良の一種です。

それを悩みにする人がいたら、私はまず、ベッドからトイレヘとたどり着くルートのことを心配します。階段があったり、段差があったりすると、思わぬトラブルが発生するからです。過去に、ベッドの上に立ち上がってしまって、歩き出して、ベッドから落下して骨折した、という事故の診察に立ち会ったことがあるくらいですから、何が起こるかわかったものではありません。
そのようなトラブル源はない、と判明したら、尋ねます。
「毎回、どれくらいの量の尿が出ますか?大量ですか?少量ですか?」
ほとんどの人は、
「ジャンジヤン、たくさん出ます」
と答えます。

膀胱は、500ccくらいの容量があり、それくらいをためることはできますが、とりあえず、200cc程の尿がたまると、尿意をもよおします。
腎臓は、1分間に1ccの尿を作り出します。つまり、1時間に60ccです。だから、500cc入る膀眺が満杯になるまでは、8時間以上かかります。しかし、尿意をもよおす尿量である200ccがたまるまでは、3〜4時間です。つまり、眠りについて3〜4時間以後は、何の問題もない若い身体でも、尿意を感じて当然なのです。
しかし、熟睡中通常は、尿意を感じません。尿意よりも睡眠の深さが上回るのです。睡眠は、深いノンレム睡眠と浅いレム睡眠が交互に訪れますが、浅いレム睡眠でも、尿意を感じるレベルを上回っているのです。だから、良い睡眠をとっている人や熟睡している人は、膀胱が満杯になる8時間後までは排尿のために夜中に目が覚める、ということはないのです。
睡眠の状態が悪くなると、浅いレム睡眠の時に、尿意を感知して、目が覚めてしまいます。寝入ってから200cc以上の尿がたまるまで3時間20分ですから、それ以後は、いつ目を覚ましてもおかしくないことになります。もともと人体はそういうものです。

加齢に伴い睡眠が浅くなります。日光のもとで運動した日は深く眠れることもありますが、基本的に加齢に伴い、睡眠は浅くなりますぐ全体の睡眠が浅くなったために、もともと浅いレム睡眠時に、尿意を感知してしまって目が覚めることは、よくあることです。夜中にトイレに起きる、というのも一種の体調不良ですが、全体睡眠が浅くなることによる夜間排尿は、「加齢系の体調不良」といえるのです。

尿意を感知するのは、蓄積尿量200cc以上、と説明しましたが、200cc程たまると、異常に強い尿量を感知してしまうことがあります。尿意過敏な状態です。これは、前立腺肥大や神経の問題で発生します。前立腺肥大が原因なら、「体内固形物系の体調不良」になりますし、知覚神経の問題なら、「体内調節系の体調不良」ということになります。

日中は下半身、特に足に、徐々に水がたまります。重力の関係で、身体の下半分に水がたまっていくのは当然のことです。寝る前と起きた後の体重差くらいの水はたまります(実際には、体表面からの蒸発分を差し引く)ので、両足に500ccから1リットルくらいの水は溜まります。たまった水は、膀眺内へ移動させなければいけません。いつ排出するのかというと、身体を横たえて、重力の影響がなくなる睡眠中です。この時間帯に、膀胱へ蓄積されていきます。
日中に下半身に水がたまりすぎると、当然、膀胱にためられる水分量は増えていきます。腎臓が頑張って、多くの水を膀胱に送り出します。膀胱への尿量が増えて、限界容量の500ccに近づくと、いやでも強い尿意となり目が覚めます。
つまり、身体を横たえた時に下半身の水は一気に還流されてきて、膀胱に急速にたまり、強い尿意が出現し、排尿のために夜中に目が覚めるようになります。

「病気」とはいえない体調不良のレベルで、下半身に水がたまりすぎる原因は3つあります。
一つは、心臓の収縮能力の低下です。足先に送られた血液は、心臓からの押し出しの力で、上半身に還流されますが、この「押し出し」の力が低下すると、下半身に水がたまってしまいます。心筋収縮力の低下は、加齢に伴い必発ですので、この場合は、「加齢系の体調不良」ということになります。
一つは、下半身の深部静脈の弁の破壊です。下半身の血液が、逆流しないように静脈には弁がついています。これが加齢に伴い壊れてしまうのです。逆流防止の弁が不調になるので、下半身にたまりやすくなります。加齢に伴い弁は壊れるのですが、直接の問題は、血流不全ですから、「血流不全系の体調不良」ということになります。
もう一つは、内臓脂肪です。下半身の水が上半身に戻る際に、静脈を通じて戻るルートとリンパ管を通じて戻るルートがありますが、内臓脂肪は、リンパ管を圧迫して、リンパ還流障害を作り出します。その結果、下半身に水がたまります。内臓脂肪が増えたことが問題ですから、「過体重系の体調不良」ということになります。

その他にも、肝硬変や膀胱柔軟性障害などが原因となることはありますが、日常的な原因は網羅できたと思います。

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