お子様の近視を進行させない最新情報(後編)

お子様の近視を進行させない最新情報(後編)

前回、ようやく最近になって、子供を含めた若年者の近視に合わせる眼鏡は、近視の進行を抑えるためにも遠くがはっきり見えた方がいいことが分かったとお伝えしました。さらに近視の進行を抑える治療法がいくつか明らかになりました。1.低濃度アトロピン点眼 2.オルソケラトロジー 3.多焦点ソフトコンタクトレンズ 4.太陽光の下での戸外活動です。

以前から1%アトロピン点眼には近視の進行を抑える効果があると知られておりましたが、副作用が強くて使えませんでした。ところが0.01%に調整した低濃度アトロピン点眼を1日に1回だけ投与しても、学童期(6~12歳)の子供に対して近視の進行を抑える効果が十分にあり(2012年)、副作用も全く見られないことが分かりました。私共の施設でも1年前から希望者に処方しており、現在その効果を検討中です。

オルソケラトロジーとは、特殊なハードコンタクトレンズを毎晩着けて寝ることで、朝から裸眼で過ごせる治療法です。このレンズを装着すると、黒目(角膜)の表層が一時的に平坦化して近視が減りますが、装着しないと元の近視に戻ります。私自身は日本に導入された当初の2001年より処方を行なっており、自分の子供にも装着させ、近視の進行を抑える効果を十分に実感しております。低濃度アトロピン点眼では近視は減らないので眼鏡が必要ですが、オルソケラトロジーを行うと眼鏡が必要なくなることに加えて、近視の進行を抑える効果があります。ただし強度の近視には見やすくする効果が乏しく、近視が強くなる前にすべき治療法です。

多焦点ソフトコンタクトレンズは、老眼で近くが見えづらくなった世代に開発された遠近両用のコンタクトレンズであり、様々なタイプがあります。それらのうち、中心部を遠く見えるように設計されたタイプが近視の進行を抑える効果があると確認されています。多焦点ソフトコンタクトレンズもオルソケラトロジーと同じく、装用すれば眼鏡を掛ける必要が無くなりますが、オルソケラトロジーとは異なり、黒目の形を一時的すら変化させないことと、通常のソフトコンタクトレンズと扱いが同じであるために受け入れやすいことです。しかし終日に装用するために、自分で装脱着ができないと緊急の対処ができなくて危険であり、小学生の低学年には処方が難しいです。一方、オルソケラトロジーは日中に装用しないため装脱着を保護者が管理でき、小学生の低学年から開始できます。近視の進行を抑える治療を開始する時期が小学生の高学年なら、多焦点ソフトコンタクトレンズも選択肢の一つになります。

最近の大規模な調査で、子供を含めた若年者の近視の進行は、1.遺伝の影響が最も強く、2.都市部で速く、3.IQや学歴が高いほど速く、4.勉強などの近業時間が長いほど速く、5.太陽光の下での戸外活動によって抑えられることが明らかになりました。読者のお子様に該当する項目が多いなら、残念ながらお子様は近視が進行する可能性が高いでしょう。近視の進行を抑えることが可能になった今、近視が強くなる前に積極的な対処を考えてみてはいかがでしょうか?

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