保険診療と自由診療

保険診療と自由診療

Q1 どう違うのですか。

主な違いは、診療報酬、つまり患者さんが受診したときの費用の算出方法です。保険医療においては、公定の保険点数に基づいて、受診時の費用が決定されます。一方、自由診療においては、提供する医療サービス(検査や投薬、施術など)の金額を医療機関ごとに定めています。

Q2 それぞれの長所と短所は?

保険診療の長所は、病気などで医療機関を受診したときに、本人負担の費用が小額で医療サービスを受けることができることです。保険診療の短所は、診療組織を維持するための売上(医療サービスの対価)を獲得するためには、一人あたりの診療時間を短時間で済まさなければいけない点です。丁寧な説明などで時間を費やすと診療組織を維持する売上が確保できません。

自由診療の長所は、独自に定めた価格設定により、その医療機関が独自の診療行為を展開できることです。十分な価格を設定することにより 1 人あたりの診療時間を多くとることができます。また、基本的に自由市場になりますので、医師側は技量向上などを目的として切磋琢磨することになります。短所は受診者の負担費用が高くなることです。

Q3 保険医療だとなぜ金額的に安く受診することができるのですか。

厳密には受診時に支払う本人負担費用が安いというだけです。それまでに前払いで支払った膨大な医療保険の掛け金があることを忘れてはいけません。

Q4 ハワイで風邪をひいてクリニックを受診したところ、 1 種類の薬だけ投薬してもらって、 4 万円も支払うことになりました。自由診療だとなぜこんなに高くなるのですか。

保険診療による国民医療費はすでに年間 30 兆円を超えています。日本の人口 1 億 2 千万人で割ると、一人あたり 25 万円強です。日本で病院に行くことはそう何度もなことと思います。それでも 1 人平均で年間 25 万円もかかっているのです。 1 回の受診による医療費の 4 万円というのは決して高い金額ではない、と認識しなおしてください。

Q5 美容外科での手術にはなぜ保険が効かないのですか。

保険医療制度は、病気になった人の治療のために誕生した制度です。美容など、各個人がプラスαを求める医療サービスの提供時には保険医療は適用されません。

Q6 脳ドックなどを含む人間ドックを受診して、合計 13 万円を支払いました。この 13 万円には保険は適応されていないのですか。

されていません。各個人が希望して受診した健康診断や人間ドックには保険医療は適用されません。

Q7 会社で年に 1回おこなっている健康診断は保険で行っているのですか?

会社の健診で本人が費用を支払わないのは、保険医療が適用されているからという意味ではありません。保険組合が組合員の健康チェックのために費用を負担しているという意味です。ただし、保険組合が支払う費用も、もともとは給料からあらかじめ天引きされた医療保険の掛け金であることを忘れてはいけません。

Q8 保険診療では受けられない治療もあるのですか。

保険が適応されるのは、保険医療制度で定められた治療や検査のみです。「ある症状に対して実施できる検査」「ある病名に対して投与される薬」が細かく規定されています。その規定の範囲で医師は医療を提供しています。

Q9 保険診療と自由診療をあるクリニックで使い分けることができるのですか。

法的には、ある患者の 1 つの治療について保険診療と自由診療を併設してはいけないことになっています。したがって、使い分けることはできません。しかし、平気で保険診療と自由診療を併用しているクリニックはいくつか存在します。医療をビジネスと割り切っているのかもしれません。とくにプラセンタ注射をめぐってその傾向がみられるようです。

Q10 美容外科や歯科の領域では自由診療が多いようですが、内科の自由診療は存在しないのですか。

古くは、日本医師会の会長であった武見太郎氏が内科で自由診療のみ行っていたことが知られています。現代では、顧問医師スタイルの医療を展開する四谷メディカルサロン、大阪メディカルサロン、名古屋メディカルサロンが純粋な自由診療を行っています 。

Q11 海外でも保険医療制度は存在するのですか。

国民皆保険として実施されているのは日本だけと言っても過言ではありません。ドイツでは民間の保険会社がとりおこなっていますが、加入するかどうかは本人の自由です。アメリカではヒラリーさんが提唱した国民皆保険制度は廃案になってしまいました 。

Q12 年間の日本全体での保険医療費が増える一方だと聞いていますが・・・ 。

高齢化にともない医療に要する費用は自動的に増えていくでしょう。老人保険の掛け金は現役世代が負担しており、その拠出金はすでに 30 %を超えています。保険医療制度の先行きに関しては、予想困難な状態です。

Q13 医療機関は医療を提供する際に、患者負担のコストができるだけ安くなるように努力しているのですか。

現状では、よりコストがかかる、つまり医療機関がより多くの保険点数(診療費)を稼げるように検査や投薬の方法を工夫しているといえます。保険制度下で保険基金に請求できそうなら不要な検査、不要な投薬を行おうとする傾向が露骨です。受診者の負担費用が少なく受診者の関心が低いことも原因になっています。

ある 1 つの病気でクリニックを受診したときの医療費が各県別で露骨に異なっていることがその傾向を如実に物語っています。同一条件下では、高知県、岡山県、大阪府の 3 府県が医療費が多くかかるビッグスリーです。より多くの検査を行おうとする、より多くの投薬を行おうとする傾向を示しています。

Q14 日本の保険医療制度はこの先どうなるのでしょうか。

全国民が保険医療費の掛け金を給与から天引きされることに慣れてしまっています。医療費を受け取る立場になる医師側も、医師会を形成して政府に対する強力な圧力団体となっています。一方で、病気になったときの負担金額が小さいというのはかけがいのない安心感でしょう。ところが、現実的には保険組合の財政状況は悪化の一途をたどっていますし、若い世代の前払い負担も限界があります。予想するのはまったく困難であると言えるでしょう。

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