風本真吾の健康管理学事始め 第7回

風本真吾の健康管理学事始め 第7回

脳梗塞の実態を知って日常生活に予防方法を取り入れれば、末永く、「頭脳明晰で、自分の足でどこにでも行ける」を実現できます。まず、脳梗塞の予防を万全にしなければいけません。そこに健康管理のエッセンスがたくさん含まれています。積極的予防医療の心得を持つべきです。

首の左右で脈打つ頸動脈。ここを通過した血液が脳に送り込まれます。厳密には顎の下で枝分かれして、顔と頭の表面にも多少の血液を送り出します。
頭蓋骨の中の脳は、送り込まれた血液から酸素と糖とその他の栄養素を取り入れて活動します。血液が脳にまったく送り込まれなくなれば、5秒で意識がなくなり、倒れてしまいます。5分で脳細胞は死滅してしまいます。
頸動脈は、細い動脈を枝分かれさせながら、脳の各部分に血液を送り届け、やがて左右の頸動脈は、眉間の奥、大脳と脊髄の接合部の前方あたりで合流します。ここから、脳の表面を這うように、動脈を枝分かれさせます。枝分かれした先の動脈のどこかが詰まってしまい、その先に血液が巡らなければ、脳梗塞の発症ということになります。

脳梗塞を発症すると、死ぬか、身体が不自由になるか、知能がおかしくなるかのどれかです。脳梗塞を起こしてしまったら、リハビリに励んで回復の努力をしますが、体の不自由は、多かれ少なかれ残ります。手足が思うように動かなくなり、会話も普通に行えなくなることがしばしばです。

大きな脳梗塞は、大抵突然起こります。
「つい先ほどまで元気だったのに」
「つい昨夜まで、一緒に飲み遊んでいたのに」
「機能、一緒にゴルフをしたのに」
「一緒に会話している最中だったのに」
などはよくある話です。脳梗塞は突然起こりますが、最初は軽い症状で、数時間かけて一気に重くなっていくこともしばしばです。政治家、スポーツ選手、タレントに脳梗塞が発症した時は、大きな話題になります。
大きな脳梗塞が発症すると、その直後に脳浮腫という状態がじわじわと怒ります。その結果、死に至ることもあります。だから、大きな脳梗塞を発症したら、命が助かるかどうかは、発症後一週間が分かれ目になります。

頸動脈は二本ありますので、片方が詰まってもなんとかなります。しかし、枝分かれして脳の表面を這っている動脈が詰まると、その先の血液がなくなり、脳梗塞の発症になります。どのようなケースで詰まってしまうかというと、二つのパターンがあります。
一つは、動脈の局所に動脈硬化が発生し、内腔がくびれて、そこに血小板が集まってきて血栓ができて詰まってしまうというパターンです。くびれる原因には、高血圧や糖尿病、あるいは「血糖値がやや高い」などが関与します。もう一つは、頸動脈を通じて何かの塊が流れてきて詰まってしまうパターンです。多いのは、心臓の中にできた「血液の凝集塊=血栓」です。心臓のポンプとしての働きが順調、快調でないと、心臓の中で血液の流れのよどみができ、そこで血栓が出来上がります。その血栓は心臓の中でうろうろしていますが、何かの拍子に大動脈へと運び出されます。それが頸動脈を通じて、脳動脈に詰まってしまうのです。心臓内に血栓を作ってしまう心臓の病気としては、心房細動が多いです。この場合、血栓ができる時は、「血小板凝集→凝固」の手順をとることになります。

ところで、頸動脈の内壁にできた「プラーク」といわれるものも、詰まりの原因になります。首を動かすと頸動脈は伸ばされたり、ひねられたり、曲げられたりします。そういう部分には、物理的刺激も受けるので、動脈硬化が発生しやすく、その動脈硬化産物の塊(プラーク)がはがれて、流れ出てしまうことがあります。それがその先の脳動脈に詰まるのです。人間ドックなどでは、その頸動脈のくびれやプラークの有無をチェックすることがあります。
脳の表面の動脈から枝分かれして、脳そのものの中にごく細い動脈や毛細血管が送り込まれます。脳の細胞の隙間には、毛細血管が張り巡らされ、酸素と糖、栄養素を脳細胞に送り届けます。それらの脳に必要な物質の供給が減ってしまえば、脳細胞は十分に働かず、脳の機能が低下します。
頭頂葉や小脳の血液の巡りが悪くなると、手足の動きが鈍ります。加齢に伴い運動機能が低下するのは、そのためです。筋力の低下だけが原因ではありません。
前頭葉や側頭葉への血液の巡りが悪くなると、知的能力が低下します。つまり、記憶力や判断力が鈍り、頭が冴えなくなります。加齢によって知能が鈍るのは、そのためです。遺伝性のアルツハイマー病や各種の脳疾患がありますが、通常の認知症や知能の衰えは、ほとんどがこの脳への血流低下が原因です。
脳細胞の隙間を流れる毛細血管の血液の流れが悪くなると、運動機能や知能の衰えとなります。毛細血管の直径は、6ミクロンです。そこを血液が流れるのですが、赤血球の直径は8ミクロンあります。つまり、細い内腔をその内腔の直径より大きい赤血球が流れているのです。物理的に可能なのでしょうか。

赤血球は、グニャリと変形することができるのです。つまり、脳の毛細血管の隙間を赤血球は細長く変形して通過し、毛細血管に接する脳細胞に酸素を与えていたのです。
赤血球の弾力性や変形能力が高ければ、脳に血液がしっかりと巡り、変形能力が乏しければ、脳への血液の巡りが悪くなるのです。
睡眠不足は、赤血球を硬くして変形能力を低下させます。だから、寝不足の時は頭が冴えないのです。運動能力も低下しています。
赤血球の変形能力を高めるには、青魚成分のEPA(エイコサペンタエン酸)を摂取すればいいです。赤血球の変形能力が高まることが知られています。

動脈硬化を防止するために、あるいは、血栓ができるのを防止するために、「睡眠不足を避ける」「ストレスを避ける」「過労を避ける」「血糖値が上がらないようにする」などは、「あれはダメ」「これはダメ」という禁止設定を積み重ねることであり、消極的予防医療と名付けられます。
それに対して、EPAをしっかり摂取しようとすることは、「これに前向きに取り組むことによって予防する、防止する」を実行することであり、積極的予防医療の一環となります。

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