風本真吾の健康管理学事始め 第5回

風本真吾の健康管理学事始め 第5回

どれほど健康管理に気を使っても、人は、いつかは必ず死ぬものです。死に際には5つのパターンしかありません。その5つのパターンを日ごろから考えていると、漠然とした死への恐怖心が薄れてきます。そして、健康管理の焦点が見えてきます。同時に、尊厳死、安楽死というものを考えることになります。

5つのパターンとは

  1. 急死
  2. 何かの健康トラブルで身体が不自由になり、それが徐々に進行して、寝たきりに近い状態となり、肺炎などを起こして死ぬ
  3. 身体全体が徐々に衰えて、家に閉じこもるようになり、やがて食べられなくなり、死ぬ
  4. 手術でとり切れないようなガンが発覚して、闘病の日々を送りやがて死ぬ
  5. 全身に広がったガンが発覚して、1~2ヶ月以内に死ぬ

1.急死

「つい先日まで元気だったのに、突然死んでしまった」あるいは、「つい先日まで元気だったのに、突然発症して、あれよあれよという間に死んでしまった」という時、原因として多いのは、心筋梗塞、脳血管疾患、大動脈疾患、自殺、事故、肺炎です。

30歳第や40歳前後で突然死んだ場合は「クモ膜下出血」が多く、40歳代以後に突然死ぬのは「心筋梗塞」が多くなります。60歳を超えると「大動脈疾患(大動脈瘤破裂、解離性大動脈瘤)」も増えてきます。だから、35歳くらいで脳ドックを受けて、脳動脈瘤がないかどうかをチェックし、60歳からは3~4年ごとに胸部CTを行って、大動脈の状態を見ておくのがいいです。
ウイルスや菌が感染して肺炎を起こした場合、1~2週間以内に呼吸不全で死んでしまうこともあります。これも、急死というイメージになります。致死性の肺炎を引き起こすウイルスが周期的に世界に流行しますので、注意が必要です。
以上が急死のパターンです。

2.健康トラブル→身体不自由→介護→寝たきり→肺炎→死

脳梗塞や脳出血、脊髄疾患、事故などで、身体が不自由になることがあります。介助や介護が必要になり、行動範囲が狭まります。同時に、筋力が低下し、全身の衰えが目立ってきます。まったく動けなくなり、寝たきりに近い状態になることもしばしばです。
介助してもらわないと、食事もできません。そこで怖いのが、肺炎です。食べ物をうまく呑み込めず、むせた拍子に、気管の方に入り込んでしまいます。これを誤嚥といいます。そして、肺の奥深くまで入り込み、肺炎を発症します。

肺は外の空気と接しています。空気を伝わって菌やウイルスが入ってきた時、全身が衰えていると免疫力も弱まっており、口から肺に向かって入ってくる菌やウイルスに抵抗できません。これもまた、肺炎を発症します。寝たきりになっているので、痰を排出するのも困難です。
その肺炎の結果、呼吸不全を起こして、死に至るのです。ある健康トラブルがきっかけで、身体が不自由になって、やがて死を迎えるのは、そのようなパターンです。

3.衰える→意欲低下→家に閉じこもる→食べられなくなる→死

80歳、90歳、100歳を迎え、身体がじわじわと衰えていきます。一つの臓器に尿器があると、その臓器が弱点となって、身体の衰えが早くなります。心臓や肺に弱点があると、動いただけで息切れするようになります。意欲も低下し、外出する気がなくなります。すると、足腰が急速に衰えていきます。家に閉じこもるようになり、生きていく気力もなくなってきます。だんだんと食べなくなり、やがて死んでいきます。これが老衰死のパターンです。

4.手術でとりきれないガンが発覚する→闘病→数か月から数年で死ぬ

ガンが見つかった時、それが手術でとりきれるような場合は、助かることが多いです。だから、早期発見に尽くすことには、大きな価値があります。しかし、手術でとりきれなかった場合・・・。抗ガン剤療法、放射線療法、免疫療法など、治療と闘病の日々、副作用との戦いの日々、不安におびえる日々が始まります。
平成時代は、ガンの治療薬が大いに進歩しました。平成時代前期なら数カ月で死んでしまっていたのが、平成時代後期には、数年大丈夫なことも多くなりました。しかし、あくまで延命の治療です。手術でとりきれなければ、完治することはあまりないのです。
このようなガンが発見された場合、自分はどうするべきなのか?それを日頃から一生懸命に考えていると、ある一定の時期を乗り越えると死への恐怖が薄れていきます。
もちろん、ガンが出ないようにするのが一番良い方法に決まっています。そして、仮にガンができても、手術でとりきれる段階で発見するのが良い、と当たり前に思います。それを考えていると、早期発見の価値が自分の中で高まり、日頃から一生懸命に検査を受けるか、「ガンで死ぬなら本望だ。早期発見にはこだわらない」と割り切り、検査を受けないと決断するかのどちらかになります。

5.全身に広がったガンが発覚する→1~2ヶ月で死ぬ

「ガンで死ぬなら本望だ。早期発見にはこだわらない」と割り切ってしまうと、何かの症状が現れるまで、検査する必要はないということになります。その結果、何かの急な症状が現れて病院で調べたところ、全身に広がったガンが見つかることがあります。この場合、たいていは1~2ヶ月で死んでしまいます。
実は先進国でも、この死に方は多いのです。イギリスなどは、救急車で運ばれた患者の5人に1人は、全身にガンが広がっていて急な症状で発症した患者です。救急車で運ばれるまで、自分の身体にガンがあることを知らず、普通に生活していたのです。
「人はいつかは死ぬ。死に向かってじたばたしない」という死生観が、日頃から検査を受ける必要性を感じない、という何かをもたらすのです。

尊厳死と安楽死

尊厳死という単語を聞きますが、これはどういう意味なのでしょうか?

関ヶ原の戦いに敗れた石田三成が、縛り上げられて、徳川家康の前に連れ出された姿を想像してください。家康が話しかけました。
「今、ここで土下座して謝りなさい。そして、今後は私(家康)の部下として、忠誠を尽くすと約束すれば、命は助けてあげるよ」
そこで三成は、どう答えるでしょうか?
「ありがとうございます。今後は二度と逆らいません。家康殿の元で一生懸命に働きますから、どうかお許しください」
と言うでしょうか。
そんな風に言うはずはなく、おそらく居丈高に家康を罵って、死を選ぶでしょう。それが尊厳というものです。
「みじめな姿をさらすなら、死んだ方がよい」
「自分の人生の主義に反することをするくらいなら、死んだほうがよい」
と潔く決断するのが、尊厳というものです。

痛い思いをして苦しむくらいなら死んだほうがよい、という思いで選択する安楽死とは、自分の決断で死を選ぶ、という点では似ています。

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