経口粘膜ワクチン

経口粘膜ワクチン

現在、東京大学医科学研究所の感染・免疫部門炎症免疫学にて、お米を使った「経口粘膜ワクチン」というものが開発されているそうです。まだ、実用化には時間がかかるようですが、非常に興味がある分野だと思います。

ところで、免疫力とは何でしょうか。免疫力とは、自己と非自己を識別し、非自己を排除する力のことをいいます。尚、ここでいう非自己というものは、埃や塵、ウイルスや細胞、ガン細胞などを指します。
では、その免疫系細胞が多数存在するのは、どこの器官でしょうか。それは、腸です。腸の上皮細胞の直下にある粘膜固有層と呼ばれるところに、免疫系細胞は多数存在しているのです。
つまり、この腸粘膜を無毒化した抗原で刺激し、事前に抗体を誘導しておくことによって病気の発生を防ぐというのが、経口粘膜ワクチンというものなのです。

例を挙げると、今、開発段階にある「コレラ毒素ワクチン」です。コレラ毒素は、人体に入ると非常に重篤な下痢を引き起こし、発展途上国では、命をおとす原因の一つとなっております。
コンフ毒素蛋白質のうち、毒性を持たない部分の遺伝子を稲に導入し、それからできたお米を食べることにより、腸の免疫が活性化して、粘膜からIgAという抗体が分泌されるようになるようです。これは既に実用化されて60人のボランティアに投与し、問題となる副作用はなかったという報告がされております。この研究が進めば、お米を使ったワクチンで、高血圧や糖尿病、脂質異常症といった生活習慣病を予防する「新・三種混合ワクチン」にも応用できるのではないかと考えられております。例えば、降圧薬のARB (アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬)は、アンジオテンシンⅡという物質が受容体に結合するのを阻害する薬剤ですから、アンジオテンシンⅡに対する抗体を産生させることができれば、その薬と同じように血圧を下げる働きをするはずです。同様に、糖を尿から再吸収することを発症させる物質に対する抗体があれば、糖尿病を予防できますし、高コレステロールを発症させるタンパク質に対する抗体を体内に誘導することができれば、そういった病気を予防できるはずです。頻度としては、一ヶ月に一度、この経口粘膜ワクチンのお米を食べるだけで、その病気が予防できることになる日がくるかもしれません。

皮膚を老化させる物質を排除してくれる抗体、体内のガン細胞を排除してくれる抗体が、注射ではなく、お米を食べるだけで自由に得られる時代がくるかもしれない、そう思うと、非常に興味深い研究だと思います。

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