カナダの医療と福祉 ~犬の手術は一週間以内に行われるが、人の手術は2~3年待たされる!~

カナダの医療と福祉 ~犬の手術は一週間以内に行われるが、人の手術は2~3年待たされる!~

カナダはロシアに次いで2番目に広い土地(日本の27倍)を有する国です。人口は3000万人余りでアメリカの1/10という、広い土地の割には少ない人口の国です。従って、難民の受け入れには積極的です。

カナダの医療制度は、1966年後半に導入された「メディケア」と呼ばれる国民皆保険制度を採用しており、OECD(経済協力開発機構)の中では唯一患者の自己負担を禁じている国です。
ただし、歯科診療や処方薬、リハビリ治療などは全額個人負担であり、総医療費に占める私的負担の比率は約30%に及び、公的負担制度を持つ先進国の中ではずば抜けて高くなっています。

一般に医療機関を利用する場合、まず地域の家庭医を受診し、そこから専門医の紹介を受けて受診するシるアムになっています。しかし、家庭医は実数が少なく、患者数を制限することが許されているため、新規の患者を受け付けていない場合が多いといいます。
また、医師は基本的に保険医であり、診療報酬に上限が設けられているため、多くの患者を一日で診ることはせず、予約制としています。普通、予約して1~2週間後に受診となります。その中でも極端に医師の少ない整形外科、皮膚科、産婦人科などでは、驚くべきことに数ヶ月から一年後の予約になることもあります。
医師は一部の勤務医を除き、営利の独立した存在となっており、普通病院の契約医として働いています。
そして、医療費抑制政策により、緊急を要さない治療の待機期間が平均18週、CTやMRIなどの検査の待ち期間が5~10週と長く、先進国中では最悪となっているのです。

ところで、家庭医を持っていない患者さんは、「ウォークインクリニック」と呼ばれる大型ショッピングモールなどに入っている簡易診療施設のようなところで受診します。日本ではショッピングモールに入っているクリニックでもレントゲンや採血はできることが多いのですが、カナダでは基本設備を何も設置していないところがほとんどであるといいます。
カナダは、医師が直接関わるコアとなる医療について、患者負担を求めないというシステムです。コアから外れる歯科や処方薬やリハビリなどを含めると、医療全体に関しては患者の負担が大きくなり、加えて待機期間の慢性的な長期化は、患者の国外退避など国民が不利益を受ける結果となっているようです。
今後カナダでは、公的保険適用外の民間病院による自由診療と民間医療保険の拡大が見込まれており、自己負担は今よりさらに増えていくと予想されております。

また、カナダの福祉は、世界一といってもいいくらい充実しております。
バリアフリーの面では、例えばカナダの公共バスは、車内の前1/3は車椅子と乳母車のスペースと決められています。たとえ一般の来客がそこを利用していても、車椅子や乳母車の乗客が来るとたちまち空けてそのスペースが提供されます。このような公
共マナーが徹底されている、成熟した社会となっております。
また、コロンビア氷河の観光に大型雪上車が運行されていますが、その乗車口は、地上から1メートルほどの高さにあります。ここに車椅子の観光客がいれば、誰に依頼されなくても一般の乗客が協力して車椅子を持ち上げる光景が見られます。
バリアフリー化は、設備や技術などハードの面だけ充実しても完成しません。カナダのように国民すべての人が、心のバリアフリーを推進するソフト面が大切です。このソフトの面で、日本はまだまだカナダと比べてもの足りないような気がいたします。
2020年の東京オリンピック・パラリンピックには、世界の多くのハンディキャップを抱えた観光客が来日します。
我々日本人は、ソフト面の本当のおもてなしの心を持つ必要があると思います。

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