高福祉の国スウェーデンの保険・医療(2) ~首相に会うより医者に会う方が難しい?~

高福祉の国スウェーデンの保険・医療(2) ~首相に会うより医者に会う方が難しい?~

スウェーデンでは、日本にはない特徴的なルールがあります。2005年、「全国医療保証制度」が導入され、治療を行うと決定してから90日以内に、ランスティング(都や県)は治療を提供しなければいけないことになりました。

万が一、この期間内に治療が受けられないという時には、別のランスティングで治療を受けられるようにする義務が生じてきます。
例えば、癌の診断となったけれど手術室の予約が一杯で、手術が3ヶ月待ちとなった時には、医療機関の方ですぐに手術を受けられるように他の地域医のランスティングを手配するということで、安心した医療を提供しようということです。ランスティングの病院間でこのような連携がスムーズに取れていれば、患者さんは必ず、90日以内には治療を受けられるという安心感が生まれます。日本では、何日以内に治療をしなければいけないというルールはないのですが、今のところは、診断を受けてから遅くとも2ヶ月以内には、治療を受けることができます。

さらに、特筆すべきは介護の問題です。スウェーデンでは、寝たきりの老人がいなく、無駄な延命治療は行われないといわれています。因みに、日本の寝たきりの老人は、150万人から200万人といわれています。スウェーデンでは、先ずは寝たきりにならないように個人個人が努力していて、そして、万が一寝たきりの状態になってしまった時は、死が近づいたサインと潔く受け止めるようです。点滴せず、胃瘻も作らずに、最後は自然な形で看取られることが多いといいます。日本では、何年も寝たきり老人のケアが行われていますが、スウェーデンでは、病人や老人や家族も含めて国民がこのことに納得しているので、寝たきりの状態になったら、数日か遅くとも数週間で死を迎えることになります。

バラ色の制度は、この世に存在しません。権利と義務、優しさと厳しさの両面がワンセツトになって機能しているように思います。
そして、今後はEUへの高い負担金や高齢化、若者の失業率の多さ、特にシリアの難民問題から引き起こされる様々な問題によって、スウェーデンの高福祉も崩れる可能性があります。

今後の日本の医療の方向性を知る意味でも、非常に参考になる国だと思います。

世界の医療制度から学ぶ、日本の医療カテゴリの最新記事