高福祉の国スウェーデンの保険・医療 ~首相に会うより医者に会う方が難しい?~

高福祉の国スウェーデンの保険・医療 ~首相に会うより医者に会う方が難しい?~

高福祉と聞くと、ノーベル賞で有名なスウェーデンが思い浮かびます。

スウェーデンは、人口約950万人、2016年世界幸福度ランキングでは第10位(日本は53位)、収入の多寡に関わらず所得税は30%で、消費税はなんと25%と日本よりはるかに高い税率を導入しております。「税金はもうち一つの国民の財布」と考えており、税金は国に預けたお金で何を買うかというと、「安心」を買っているといるという感覚です。
また、税金は高いが、間違いなく高福祉に還元されると考えており、国民が政府を信頼しているから成り立っているといえます。
高福祉高負担の国スウェーデンでは、医療費は18歳まで無料、教育費も大学まで無料です。
現在、日本の不安材料になっている年金・医療・介護・教育・失業など、スウェーデンでは全て国が支えています。

それでは、高福祉の国スウェーデンの医療は、どのようになっているのでしょうか。

スウェーデンの医療制度では、保険と医療の責任は国、(日本の都道府県にあたる)ランスティング、(日本の市町村にあたる)コミューンの三者で分担されており、「保険医療サービス法」によって、ランスティングとコミューンのそれぞれが医療に対してどのような責任を負うのか決められています。この法律は、ランスティングとコミューンの大幅な自由裁量を認めるために制定されました。そして国は、保健医療政策の全般にわたって責任を担っています。

まず、スウェーデン国民が負担する医療費ですが、1年間1人当たり日本円にして約1万円と上限が決められています。日本では高額療養費制度により、1ヶ月の負担上限を8~9万円程度に抑えられていますが、それと比べてもスウェーデンの医療費は、ほぼ無料といってもいいくらいです。

それでは、現在の実態は、どうなっているのでしょうか。

リーマンショックがあった2008年9月15日以降、スウェーデンではエーデル政策という教育や医療の民営化が進みました。
その結果、経費節減や利益優先が行われるようになり、学力の低下や病院の待ち時間が増え、医療機関は長蛇の列で、風邪を引き高熱の辛い状態で病院に行ってもすぐに診てもらえず、「3日経って熱が下がらないようであれば、また来てください」といわれるケースもあり、この状況から「首相に会うより医者に会う方が難しい」というジョークができたのです。医療費が無料でも、この状況では不満が出てくることが予想されます。
これには、スウェーデンの家庭医の9割が、公雇用の医師であることも関係しているかもしれません。

よって、近年では、少しでも早く医者に診てもらえるように、民間の医療保険に加入した上で保険会社が契約している民間の病院に行く人が増えており、日本では、医療費の負担をカバーするために民間の医療保険に入りますが、スウェーデンでは、早く医者に治療してもらうために医療保険に入るというわけです。日本は、開業医のところヘ行けばすぐに診てもらえるので助かりますね。

(次号に続く)

世界の医療制度から学ぶ、日本の医療カテゴリの最新記事