アメリカの脳外科の話~ドクターXは本当か

アメリカの脳外科の話~ドクターXは本当か

最近、ドクターXという人気ドラマが放映されておりますが、フリーランスの外科医が一件の手術をした場合に、院長に請求書を渡す場面がありました。脳腫瘍摘出術1500万、口止め料含むとの但し書きがありましたが、その額を見て、皆さんは驚かれたのではないでしょうか。

でも、これは実はアメリカではよくあることなのです。例えば、アメリカに旅行中にクモ膜下出血を発症、病院に運ばれて手術を受け、運良く助かり日本に帰国。後日、病院からとんでもない請求書がきたという話をよく聞きます。
命の値段と思えば…と払える人はいいですが、払えないことが多いと思います。そのために、旅行保険やカード会社の保険がついていますが、ほとんどがその保証に該当しないというのが現実です。

さて、アメリカの保険制度を、具体例を交えて説明いたします。

アメリカで未破裂脳動脈瘤の予防手術をする場合、通常、個人で入っている民間の保険を頼ることになります。民間の保険会社に問い合わせをして、その指示通りにしないと、保険会社から医療費は1円も出ません。
民間保険からの指示により、その保険会社が認定した地域のかかりつけ医(開業医)を受診してから、紹介状をもらって大きな病院へ行けという場合も少なくありません。
さらに、日本では病院は基本フリーアクセスで、いろいろな病院のいろいろな医師を頼って手術してもらうことが可能です。しかも社会保険か国民健康保険を使って、3割負担で済みます。ところが、アメリカの場合、65歳以上の高齢者か、障碍者、低所得者以外に公的医療は受けられませんので、民間の保険会社が対応することになります。その保険会社が詳細な未破裂脳動脈瘤手術成績のデータを持っていて、一番リスクの少ない医師か、またはその保険会社と提携している病院や医師を受診し、手術を受けなければなりません。つまり、自由に医者を選ぶことができないのです。別の見方をすると、アメリカの病院は、どの医者がどのような経験を何例持っており、そして、成功率はどの程度かということを公表しています。ある意味、とてもフェアなことだと思います。

一方、日本では、「医者がかかりたい病院、医師ランキング」や「症例数で選ぶ病院ランキング」などで判断するしかないのが現状です。以前、病院に勤務していた時に、院長あてに雑誌社からこのようなオファーがきておりました。「今度、病院ランキングを出版する予定ですが、いくら出しますか」と。その病院は症例数も多く、非常に患者さんも来ておりましたので、院長は丁重に断っておりましたが、その時、病院ランキングなんて所詮こんなものなんだと、愕然とした記憶があります。そして、そのランキングで腕のいい医者として脳外科の○○部長が載っていても、実際麻酔をかけて手術している時には、誰が脳を手術しているのかわからないのが実状です。すべてがブラックボックスなのです。

このように、日本ではまだまだ病院内のブラックボックスが存在しており、誰も手術結果を公表しようと言い出さないのが現状です。
皆さんも手術を受ける時にはせめて、その先生の成績がどうでどの位の症例数があるのかを確認すると良いと思います。また、その医師の人間性も重要と考えます。いい医師がいい医者の友人を紹介してくれることもあります。

日頃から心あるドクターと付き合いを良くしておくのも、一つの予防医療かもしれませんね。

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